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「よく噛むと痩せる」は本当?歯科医が解説する「噛む」と体重・満腹感の意外な関係
「最近、以前より太りやすくなった気がする…」「食事制限はつらいけれど、できるだけ無理なく体重を管理したい」
そんな方に、ぜひ意識してほしいのが「よく噛んで食べる」という習慣です。
もちろん、噛む回数を増やすだけで劇的に痩せるわけではありません。しかし、咀嚼(そしゃく)には食事のスピードや食事時間、満腹感、食べる量などに関係することがわかっており、体重管理を考えるうえでも注目されています。
実際に、咀嚼回数が少ない人ほど、その後の体重増加が大きかったという日本人を対象とした研究や、早食いと肥満との関連を示した研究があります。
今回は、歯科医の視点から「噛むこと」と体重の関係を、できるだけわかりやすく解説します。
「30回噛まなければいけない」という難しい方法ではなく、毎日の食事で無理なく続けられる方法も紹介します。
目次
1. 「よく噛むと痩せる」は本当?科学的根拠を整理
1-1. よく噛むと満腹感を得やすくなる
1-2. 咀嚼そのものの消費エネルギーは?
1-3. 早食いの人は肥満になりやすい?
2. 「噛む回数」が変わる生活習慣と口腔環境
2-1. 現代の食生活では「噛む機会」が減っている
2-2. 歯並びや噛み合わせも「噛む機能」に関係する
2-3. 口呼吸なども口腔機能に影響することがある
3. ダイエット目的で「よく噛む」ための実践法
3-1. 「30回」にこだわりすぎない
3-2. 「噛みごたえ」のある食品を1品取り入れる
3-3. スマートフォンを置いて「食事に集中する」
4. 「噛みにくい」が食生活に与える影響
4-1. 硬い食品を避けることで食事の選択肢が変わる
4-2. 「噛める口」を維持することは健康的な食生活につながる
5. 歯科医院でできる「噛む力」のサポート
5-1. 咀嚼機能を確認する
5-2. 歯・噛み合わせ・口腔機能をまとめて確認する
5-3. 「よく噛む」と小顔になれる?
6. まとめ
7. よくある質問
7-1. 噛む回数を増やすだけで、本当に痩せるの?
7-2. いちいち30回噛むのは面倒です。簡単な方法はありますか?
7-3. 噛む力が弱くても、よく噛む習慣は作れますか?
1. 「よく噛むと痩せる」は本当?科学的根拠を整理
結論からいうと、「よく噛むだけで痩せる」とまでは言えません。
一方で、よく噛んでゆっくり食べることは、食べ過ぎを防ぎ、体重管理をサポートする習慣のひとつと考えられています。
特に重要なのが「咀嚼回数」と「食事のスピード」です。
1-1. よく噛むと満腹感を得やすくなる
食事をすると、胃腸だけでなく脳にもさまざまな情報が伝わり、「もう十分食べた」という満腹感につながっていきます。
咀嚼もその一つです。
咀嚼による刺激は、食欲や満腹感に関わる神経系に影響すると考えられており、実験研究では、しっかり咀嚼することで食後の満腹感が高まる可能性が示されています。
つまり、「よく噛む→食事に時間がかかる→満腹感を得る時間が確保される」という流れが、食べ過ぎを防ぐポイントになると考えられます。
1-2. 咀嚼そのものの消費エネルギーは?
「噛むだけでもカロリーを消費する」と聞いたことがあるかもしれません。
実際、咀嚼にはエネルギーが必要です。研究では、ガムを噛むことで安静時よりエネルギー消費が増えることが確認されています。
ただし、ここは注意が必要です。
咀嚼によるエネルギー消費は、運動などと比べれば小さなものです。
そのため、「たくさん噛めば、その分カロリーを消費して痩せられる」と考えるのは適切ではありません。
ダイエットへのメリットは、カロリー消費そのものよりも、食事のスピードを落とし、食べ過ぎを防ぎやすくする点にあると考えたほうがよいでしょう。
1-3. 早食いの人は肥満になりやすい?
「早食い」と「体重」には、かなり興味深い関係があります。
複数の研究をまとめたメタ解析では、早く食べる人は、ゆっくり食べる人と比べてBMIが高く、肥満との関連も認められました。
ただし、これは「早食いだから必ず太る」という意味ではありません。
食事量、運動量、睡眠、生活習慣など、体重にはさまざまな要因が関係します。
そのうえで、「食べるスピードを少し落とす」というのは、比較的取り入れやすい体重管理の方法だといえます。
また、近年の研究では、咀嚼回数や一口の回数が多いほど食事時間が長くなることが確認されており、ゆっくり食べるための具体的な方法として「一口を小さくする」「よく噛む」といった工夫が考えられます。
2. 「噛む回数」が変わる生活習慣と口腔環境
咀嚼回数は、本人の食べ方だけで決まるわけではありません。
歯の状態や噛み合わせ、食べる食品の硬さなど、口の環境も関係します。
2-1. 現代の食生活では「噛む機会」が減っている
柔らかい食品や加工食品が増えたことで、「硬いものをしっかり噛む」という機会が減っているといわれます。
ただし、「現代人の咀嚼回数は戦前の半分以下」といった数字は、食事内容などから推計された資料に基づくものもあり、現在の研究として一律に断定するのは適切ではありません。
大切なのは数字そのものよりも、「普段の食事で、噛む時間を十分に取れているか」です。
2-2. 歯並びや噛み合わせも「噛む機能」に関係する
歯並びや噛み合わせに問題があると、食べ物を効率よくすりつぶすことが難しくなる場合があります。
複数の研究をまとめたレビューでも、歯並びや噛み合わせの状態が咀嚼機能に影響することが報告されています。
「食べるときに片側ばかりで噛む」「硬いものを避ける」「食事に時間がかかる」といったことが気になる場合は、単なる食べ方のクセではなく、歯や噛み合わせに原因がないか確認することも大切です。
2-3. 口呼吸なども口腔機能に影響することがある
口呼吸は、噛む動きや口腔周囲の筋肉の働きに影響する可能性があります。
成人を対象とした研究では、口呼吸によって咀嚼時の筋活動が変化することが報告されています。
ただし、「口呼吸だから噛む回数が減って太る」と単純に結びつけることはできません。
鼻づまりや口呼吸、舌の位置などが気になる場合は、歯科や耳鼻咽喉科などで原因を確認することが大切です。
3. ダイエット目的で「よく噛む」ための実践法
「1回30回噛みましょう」と言われても、毎回数えるのは意外と大変です。
そこでおすすめしたいのが、「回数」よりも食べ方そのものを変える方法です。
3-1. 「30回」にこだわりすぎない
「30回噛む」という方法は有名ですが、すべての食品を一律に30回噛む必要があるわけではありません。
食品の硬さや大きさによって、必要な咀嚼回数は変わります。
おすすめなのは、
・一口を少し小さくする
・飲み込む前に、食べ物の食感を意識する
・急いで飲み込まず、食事時間を少し長くする
という方法です。
咀嚼回数や一口の回数が増えることで、食事時間が長くなることも確認されています。
3-2. 「噛みごたえ」のある食品を1品取り入れる
普段の食事に、噛みごたえのある食品を取り入れるのもおすすめです。
例えば、
・ごぼう
・れんこん
・りんご
・きのこ類
・玄米
・ナッツ類
・野菜類
などがあります。
ただし、「硬いものなら何でもよい」というわけではありません。
栄養バランスを考えながら、普段の食事に無理なく取り入れることが大切です。
3-3. スマートフォンを置いて「食事に集中する」
意外と簡単なのが、食事中にスマートフォンや動画を見ないことです。
食事中にテレビやスマートフォンなどで注意がそれる「ながら食べ」は、食事への意識や、その後の食行動に影響する可能性があります。
近年の系統的レビュー・メタ解析では、注意をそらしながら食べることは、その後の食事でのエネルギー摂取量を増やす可能性が示されています。
「スマホを置いて、一口ごとに味わう」。
これだけでも、食事そのものを意識するきっかけになります。
4. 「噛みにくい」が食生活に与える影響
「噛む力が弱い=太る」と単純に考えることはできません。
しかし、噛みにくさがあると、食べられる食品の選択肢が狭くなることがあります。
4-1. 硬い食品を避けることで食事の選択肢が変わる
肉、野菜、ナッツなど、ある程度の咀嚼が必要な食品を避けるようになると、柔らかい食品を選ぶ機会が増える可能性があります。
特に高齢者では、歯の喪失や口腔機能の低下が食事内容に影響することがあります。
ただし、「噛む力が弱いから糖質中心になり、太る」と一律に考えることはできません。
重要なのは、年齢や口腔状態にかかわらず、できるだけ多様な食品を無理なく食べられる口腔機能を維持することです。
4-2. 「噛める口」を維持することは健康的な食生活につながる
歯科医院では、虫歯や歯周病だけでなく、「しっかり噛めているか」という機能面も確認できます。
歯が痛い、噛むと違和感がある、片側でしか噛めない、硬いものを避けるようになった。
こうした変化がある場合は、歯や噛み合わせに問題がないかチェックしてみましょう。
5. 歯科医院でできる「噛む力」のサポート
「よく噛みましょう」と言われても、自分が本当にしっかり噛めているのか分からない方も多いでしょう。
歯科医院では、歯や噛み合わせだけでなく、咀嚼機能そのものを確認できる場合があります。
5-1. 咀嚼機能を確認する
歯科医院では、咀嚼能力を確認するために、専用のガムなどを使った検査が行われることがあります。
噛むことで色が変化するガムなどを利用して、どの程度しっかり噛めているかを確認する方法もあります。
自分では気づかなかった「噛みにくさ」を知るきっかけになります。
5-2. 歯・噛み合わせ・口腔機能をまとめて確認する
噛む機能は、歯だけで決まるものではありません。
歯の本数、噛み合わせ、咀嚼筋、舌、唾液、口腔周囲の筋肉など、さまざまな要素が関係しています。
そのため、「最近、硬いものが食べにくい」「食事に時間がかかる」「片側ばかりで噛んでいる」と感じる場合は、原因を確認することが大切です。
5-3. 「よく噛む」と小顔になれる?
「よく噛むと小顔になる」という情報を見かけることがあります。
しかし、よく噛めば顔が小さくなると断定できる十分な科学的根拠はありません。
むしろ、必要以上に強く噛み続けると、咀嚼筋に負担がかかる可能性があります。
美容目的で無理にガムを噛み続けるのではなく、「適切に噛める状態を維持する」という考え方がおすすめです。
6. まとめ
「よく噛むと痩せる」という言葉を、そのまま「噛むだけで体重が落ちる」と受け取るのは正確ではありません。
しかし、
・よく噛むことで食事時間が長くなる
・ゆっくり食べる習慣が食べ過ぎの予防につながる可能性がある
・咀嚼回数と体重増加との関連を示した研究がある
・早食いと肥満との関連が報告されている
・歯や噛み合わせは「しっかり噛めること」に関係する
ということは、現在の研究からも確認されています。
だからこそ、ダイエットのために無理な食事制限をする前に、まずは「食べ方」を見直してみるのも一つの方法です。
今日からできることは、とてもシンプルです。
「一口を少し小さくする」
「急いで飲み込まない」
「食事中はスマートフォンを置く」
まずは、この3つから始めてみてください。
そして、噛みにくさや歯並び、噛み合わせなどが気になる場合は、一度歯科医院で口腔環境をチェックしてみましょう。
「よく噛めること」は、ダイエットだけでなく、毎日の食事を楽しむためにも大切な口腔機能のひとつです。
ご相談はこちらから。
7. よくある質問
7-1. 噛む回数を増やすだけで、本当に痩せるの?
A. 噛む回数を増やすだけで痩せるとは言えません。ただし、よく噛むことで食事時間が長くなり、食べ過ぎを防ぎやすくなる可能性があります。体重管理のための「続けやすい習慣」の一つとして取り入れるのがおすすめです。
7-2. いちいち30回噛むのは面倒です。簡単な方法はありますか?
A. 毎回30回と数える必要はありません。一口を少し小さくする、飲み込む前に食感を意識する、急いで食べないといった方法がおすすめです。まずは「今までより少しゆっくり食べる」ことを意識してみましょう。
7-3. 噛む力が弱くても、よく噛む習慣は作れますか?
A. まずは「なぜ噛みにくいのか」を確認することが大切です。虫歯や歯周病、歯の欠損、噛み合わせなどが原因の場合もあります。歯科医院では、歯の状態だけでなく、咀嚼機能を確認できる場合もありますので、気になる症状があれば相談してみましょう。
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