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授乳中だけれど、歯科治療が受けられる?

こんにちは

妊娠中は、お腹の赤ちゃんの安全のために、歯科治療にいろいろと制約が加わります。

では、出産後の授乳中はどうなのでしょうか。

今回は、授乳中の歯科治療についてお話しします。

目次

・授乳中の歯科治療で使う薬について

 -局所麻酔薬

 -飲み薬

 -母乳への移行が心配なら

・レントゲン撮影

・虫歯治療

 -コンポジットレジン充填

 -クラウンやインレー治療

 -スケーリング

 -PMTC

・出産後に注意していただきたいこと

 -虫歯菌が定着する時期

 -虫歯菌の定着を防ぐ方法

・まとめ

授乳中の歯科治療で使う薬について

授乳中の方がまず心配するのが、薬です。

局所麻酔薬

基本的に外科治療である歯科治療では、痛みをともなう治療が多く、治療中の痛みを和らげるために局所麻酔が多用されます。

歯科治療で使う局所麻酔の量はたいへん少なく、その上局所麻酔に含まれる血管収縮薬の効果で、体内に広く拡散することもありません。

確かに、局所麻酔薬も少しは体内に入り、母乳に移行しますが、注射から2時間ぐらいがピークになります。

そして、5〜6時間で半分以下になり、そしてほとんどなくなります。

ピークの時でも母乳への移行量は0.1%以下と言われていますから、局所麻酔薬の使用は安全と考えても間違いではありません。

飲み薬

歯科治療で処方される飲み薬は、主に抗菌薬と痛み止めです。

そのほかにも、筋肉をほぐす筋弛緩剤や漢方薬、ビタミン製剤などいろいろな薬が処方されますが、基本的にまれです。

ですので、抗菌薬と痛み止めが中心となります。

抗菌薬は、第一選択薬としてペニシリン系の抗菌薬(サワシリン®︎など)、これにアレルギーのある場合に、マクロライド系の抗菌薬(クラリス®︎、クラリシッド®︎、ジスロマック®︎など)が選ばれることが多いです。

ペニシリン系やマクロライド系なら授乳中でも安全に使えます。

痛み止めの薬では、アセトアミノフェン(カロナール®︎など)なら、赤ちゃんにも使える薬なので母乳に移行しても安全です。

その他の薬については、国立成育医療研究センターの『授乳と薬について知りたい方へというページを参考にしてみてください。

母乳への移行が心配なら

局所麻酔薬にしても、飲み薬にしても、歯科医師は安全性を第一に考えて処方します。

しかし、母乳に全く移行しないわけではないので、心配に思う方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合は、歯科治療の前に授乳しておき、歯科治療の後数時間待ってから授乳するといいでしょう。

授乳の間隔が短く、数時間待つことができない場合は、歯科治療の前に搾乳しておくのも一つの方法です。

搾乳で次の母乳を確保できないなら、人工乳も選択肢に考えてください。

レントゲン撮影

授乳中のレントゲン撮影は、全く問題ないので、ご安心ください。

一般的な歯科治療で必要とされるレントゲンは照射量、照射範囲ともに限定的なので特に心配はいりません。

虫歯治療

虫歯治療では、人工材料を使った治療が行われます。

コンポジットレジン充填

コンポジットレジンとは、歯の色に似たプラスチック材料です。

コンポジットレジン充填は、虫歯を削った後、そこにコンポジットレジンを詰めて治す治療法です。

小さな虫歯に対して行われる治療ですが、コンポジットレジンは詰めたら、その場で固めてしまいますので、体内に移行することはなく、授乳中でも心配ありません。

クラウンやインレー治療

クラウンは被せ物、インレーは小ぶりの詰め物です。

クラウンやインレーは、金属やコンポジットレジン、セラミックなどで作られていますが、どの材料で作ったものであっても、溶け出すことはなく、授乳中も問題なく治療を受けられます。

歯周病治療

歯周病の治療も、歯科医院ではよく行われています。

スケーリング

スケーリングは、歯石を取り除く治療です。

歯石を取り除くと、出血します。

お口の中には細菌がたくさんいますが、スケーリングの後に出血しても心配ありません。

出血する場合の多くは、歯肉が腫れていることが原因です。

スケーリングを受ければ歯肉の状態が改善します。

PMTC

PMTCは、歯の表面を専用のペースト材料できれいに磨く処置です。

電動歯ブラシでの歯磨きによく似た処置ですので、日常の歯磨きと同じく問題となることはありません。

PMTCを受けると、歯の表面がツルツルになります。

すると、プラークがつきにくくなり、日常のプラークコントロールがしやすくなり、歯肉が腫れにくくなるので、スケーリングとセットで受けることをおすすめします。

出産後に注意していただきたいこと

授乳中の歯科治療と直接的な関係性はないのですが、お子さんの歯の健康のために出産後・授乳中の時期にお気をつけていただきたいことがひとつあります。

虫歯菌が定着する時期

虫歯の原因菌は、人から人へと感染することでお口の中に定着します。

ところが、生まれた直後の赤ちゃんのお口の中には、虫歯の菌はいません。

成長して大きくなっていく過程で、虫歯の菌がお子さんのお口に入り込むのですが、虫歯の菌が、お子さんのお口に定着しやすい時期がわかっています。

それは、1歳半ごろから2歳半ごろです。

この時期を、『感染の窓』とよんでいます。

一旦、虫歯菌が定着すると一生なくなることはありません。

虫歯菌の定着を防ぐ方法

虫歯菌の感染経路で最も多いとされているのが、親から子への感染です。

親御さんがお子さんに食べさせるときに、ご自身の使ったスプーンやお箸などを使ったり、噛んでやわらかくしたりすると、お子さんのお口に親御さんの虫歯菌が入り込みます。

『食器はきちんと分ける』『噛んでやわらかくしない』『息を吹きかけて冷まさない』などご注意ください。

まとめ

今回は、授乳中の歯科治療についてお話ししました。

授乳中の歯科治療に関しては、局所麻酔薬や飲み薬などの薬がまず心配になると思われますが、歯科治療で使用する分ならまず心配ありません。

虫歯治療や歯周病治療も問題なく受けていただけます。

授乳中は、ご自身のことよりも育児に追われてしまい、虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。

お忙しいということは十分わかっていますが、歯の健康のために歯科医院で定期検診や歯のクリーニングを受けておくことをおすすめします。

授乳中の歯科治療に不安のある方は、当院でぜひご相談ください。

御心配な点・御不安な点などありましたら、気兼ねなくおたずねください。

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